息切れ・・・<症例考察>


階段を駆け上ったり長い距離を走った時などに息が少し苦しくなって速い呼吸をするようになるのは誰にでもあると思います。それは筋肉に必要な酸素をたくさん供給するために、心臓の拍動を速くし、呼吸を大きく速くするという自動制御が正常に働いたからです。自動制御が正常に機能しているときは、その仕組みによって人はある程度走り続けることができるし、走るのを止めたときには次第に平常の呼吸に戻っていきます。
しかし、全く息が上がるはずもないくらいのちょっとした動作をしただけなのに、呼吸が辛くなる、胸が圧迫される、息が上手く吸えないなどの辛い症状を呈する場合があります。それが「息切れ」です。

「息切れ」は要するに身体が酸欠状態になっていることから起こるのですが、その直接の原因は、
・血液中の酸素不足
・血液中の二酸化炭素過剰
・血液供給不足
のどれか、又は二つ以上が重なってしまったことから起こると考えられます。

血液中の酸素や二酸化炭素の量は、常に脳幹部で検知しています。脳幹部は大脳と脊髄の間にあって両方の制御を司っており、生命維持という最も重要な機能を受け持っています。
例えば血液中の酸素が不足していると検知した場合、その情報を大脳に伝えます。そうするともっと呼吸をするようにという指令が各器官になされ、当然に肺も頑張ってガス交換を行い、酸素供給を増やすようになるのです。
脳幹部は頭部の深奥部に位置しており、間脳、中脳、橋、延髄で構成されています。分類として間脳は脳幹部に入れないとする考えもあるようですが、間脳には視床下部があって自律神経や体温、ホルモンの中枢でもありますので、当然脳幹部と連携して働いています。

では脳幹部による素晴らしい仕組みがあるのに、なぜ「息切れ」が起こるのでしょうか。
それは、一つには気管支炎や肺炎など呼吸器系に異常があった場合、二つ目には心不全や狭心症、心筋梗塞など循環器系に異常があった場合が考えられます。当然それらの場合は専門医による治療が必要です。
しかしながら病院で診てもらってもどこにも異常がない・・・肺も心臓も脳も問題なし・・・と診断されたのに「息切れ」がなくならない・・・「息切れ」だけでなく動悸めまい不眠頭痛立ちくらみ冷え性下痢ホットフラッシュなどの症状も併発している・・・そんな場合は自律神経のバランスが乱れていることが原因と考えられます。

自律神経系の制御をしているのは間脳にある「視床下部」という親指の先くらいの小さな脳です。視床下部では自律神経系の中枢として、交感神経と副交感神経の制御や体温調整を行っています。そして同時にホルモン系の中枢としてあらゆるホルモンの監視や分泌の指令を司っています。視床下部は生命維持にとってなくてはならない相当に優秀な脳ですがいくら優秀な脳であっても機能には限界があります。例えば生理などでホルモン系の仕事が多くなった分、自律神経系の仕事にしわ寄せがいってしまう・・・また気温の変化が激しいと体温調整に忙しく、自律神経系やホルモン系の仕事にしわ寄せがいってしまう・・・その結果「息切れ」を発症してしまうとも考えられます。
また視床下部は「大脳辺縁系」という喜怒哀楽を受け持っている脳に包まれた形ですので、いろいろなストレスの影響を受けやすくなっています。「強い心配事」や「凄く嫌なこと」が起こったりしたとき、ただでさえ忙しい視床下部は外側から攻められてしまってさらに窮屈になって十分に機能できなくなってしまうのではないでしょうか。

「息切れ」の緩和と回復には、脳幹部の一員である視床下部にゆったりと仕事をできるようになってもらうことが必要です。そのためには脳幹部や脳への血液供給を回復させることが第一義だと思います。特に脳幹部の下部は上部頚椎の緊張と深く関係していると私は考えますので頸椎(特に上部頸椎)の施術は必須です。そして「中立位の整体」や「頭蓋仙骨療法」で身体の深奥部である硬膜管をも含めた脳脊髄液の循環改善を行うことで「心」と「身体」両方から深いレベルのリラックスを得る・・・視床下部を含む脳幹部と脳への血液供給が改善される・・・視床下部が本来の仕事ができるようになる・・・自律神経のバランスがとれる・・・ホルモンバランスも回復する・・・その結果、息切れをはじめとする不快な症状から解放されるのではないでしょうか。



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